ロールスロイスがついにSUV市場に新規参入

ロールスロイスがSUV市場に新規参入
ロールスロイスはこの度ついにSUV市場に新規参入することを決めました。
富裕層にとってSUVといえば一体どのブランドのお車でしょうか?
多くの方にとって馴染みの強いお車はポルシェのカイエンなのではないでしょうか?
ポルシェのカイエンを発売して以来、SUVを立ち上げるブランドは、ほぼ全てヒットを生み出してきました。
このような現状に習い近年ではベントレーも新規で参入しました。
そしてその次はロールスロイスです。
元々ロールスロイスはSUVを求めていませんでした。
顧客がロールスロイスに対してSUVを求めたのです。
これまではコンセプトカーであったロールスロイスのカリナンが2019年に発売されることとなったのです。
こちらはロンドンで正式に発表されました。
ロールスロイスは最初、SUV車を発売することに非常に抵抗がありました。
ロールスロイスは元々スポーツカーを生産していた訳ではありません。
セグメントが全く違うのです。
さらにロールスロイスには高級車としてのプライドがあります。
ロールスロイスには112年の歴史があります。
したがって、SUV車というものを発売することに対して「非常に恥ずかしい気持ちになった」とロールスロイスモーターカーの通信責任者のゲリー・スパーン氏はおっしゃいました。
市場に出ているSUVと比較することは望ましくありませんが、明らかにロールスロイスらしさがあります。
実際、ロールスロイスのエンジニアは使命を持っていました。
ディズニーの映画アラジンの王女にあったSUVを作るというものでした。
それほどの意気込みを持ってこの車種を作りあげています。
カリナンの特徴
特徴としては、ハッチバック、タッチスクリーン、前輪駆動です。
ちなみにロールスロイスは全て後輪駆動であり前輪駆動車は初めての試みです。
カリナンの22インチホイールと前輪駆動システムは、全トルクの90%を後輪にシフトできるため、オフロード走行が可能になります。
エアサスペンションシステムは、可変ライドハイトを提供し、でこぼこ道の不快感から乗客を解放します。
インテリアの特徴は、カリナンの基本価格3500万円~ということを考慮すると、高級であると分かって頂けると思います。
オプション機能は以下に記載します。
・ガラスパーティションが付いていてショーファードリブンへの対応
・センターコンソールにおける冷蔵庫と高級バーの設置
・ワイヤレス充電と5つのUSBポート
・高級なイタリアレザー
約96%のロールスロイスは色や室内装飾品などは特注品で販売されています。
つまり、ロールスロイスの96%は少なくともいくつかのオプションで購入されているということなのです。
お客様が望むものをオーダーメードのように提案したいというのがロールスロイスの企業精神です。
最初のカリナンモデルは2019年に入荷されることが決まっております。
CEOのMuller-Otvos氏はロールスが電化を念頭に置いてカリナンを設計したとおっしゃています。
実際現状ではプラグインハイブリッドの可能性が高く、そちらか徐々に電動化へと舵取りを進めていくそうです。
SUVは安定的にロールスロイスが誇る伝統的なV-12パワープラントで始動します。
ツインターボチャージャー6.7リッターは、ファントムで見られるのと同じユニットです。
カリナンは、新しいファントムの基盤となるプラットフォームと同じプラットフォームです。
長さ210.6インチで、ホイールベースのショートゴーストよりも2インチ短く、ベンテイガよりも8インチ以上長いです。
ここまでロールスロイスのカリナンの特徴をお伝えしてきましたが、ここで重要なのがその価格です。
ロールスロイスと言えばショーファードリブンとして有名なお車です。
世界の自動車市場の中でもマイバッハと並んで超高級車とされています。
BMWグループとしてのロールスロイスとプラットフォームの共有
そんなロールスロイスですが、近年ではBMWと統合しました。
そして近年のトレンドとして挙げられるのがプラットフォームの共有化です。
プラットフォームを共有することによりコストダウンを実施するといった目的です。
例えば、ランボルギーニのウルスやベントレーのベンテイガやアウディのQ7が同じプラットフォームです。
この場合明らかにアウディのQ7がコストパフォーマンスの観点から優位に立ちます。
要するに同じプラットフォームということは同じグレードであるということです。
であればその中で一番安い車種が一番コストパフォーマンスが高いということになります。
上記の3車種に関してはアウディQ7が大きく他の2車を引き離してコストパフォーマンスが高いです。
それと同様にロールスロイスもBMWグループに属しているのですからプラットフォームの共有が図られるはずです。
そうなってしまいますとロールスロイスの価値は大きく下がってしまいます。
ですが、現状のロールスロイスに関しては状況が異なります。
ロールスロイスのカリナンが共有しているプラットフォームは新しいロールスロイスのファントムのみなのです。
ここから分かることは、ロールスロイスは非常に希少で高額なプラットフォームを持っているということです。
であるのならば、価格に見合ったお車であるということです。
したがってロールスロイスというのは今もなおプレミアムブランドとして変わることなく君臨し続けています。
そして、そのようなロールスロイスから発売されるお車というのはポルシェにとってのカイエンとは違い、ロールスロイスのファントムの親戚のようなお車なのです。
ロールスロイスの生き残りをかけたチャレンジ
ロールスロイスの歴史は121年です。
そしてその歴史は一貫して富裕層をターゲットとして行われてきました。
世界のたった1%をターゲットとしてそのビジネスを行ってきました。
そのようないわゆるプレミアムブランドは世界でも数が少ないと言えます。
一体誰が乗るのでしょうか?
もちろん経営者などの富裕層です。
ですが、年々ライバルとなる自動車メーカーが増えてきました。
さらに、ショーファードリブンに対する需要も先進国を中心に減少傾向にあります。
どうしたら良いのかと考えた時にとても手っ取り早いのが流行りに乗ることです。
車のトレンドは日々大きく変わってきています。
今ではハッチバックタイプの車やSUVタイプの車が非常に流行しています。
その流行に乗ることができればほぼ間違いなくヒットをすることができると考えたのです。
そして完成したのがこのカリナンです。
と言うことは現在のトレンドや世の中の状況を適切に見極め上でのチャレンジと言えます。
非常に時代を現すビッグチャレンジと言えます。
そのチャレンジが功を結ぶか結ばないかということは非常に重要です。
ですがこのような世相から判断すると非常に合理的なチャレンジであると考えることができます。
さらなるチャレンジ
さらにこのカリナンという車にもう一つのチャレンジがあるのです。
それは、将来へのチャレンジです。
この車を設計した際に未来の展望を含めた計画を持っていたのです。
それが電動化です。
さらにそこに特徴が見られます。
それは、ハイブリッドに対する対応です。
ロールスロイスはハイブリッドには対応するつもりは無いという見解を示しています。
ロールスロイスの見解では、車の流れはいずれハイブリッドを経過して電動化に行き着くと見ています。
したがって、そのゴール地点である電動化にのみ対応しなければ二度手間になるという考え方です。
実際、カリナンにはV12気筒のエンジンのみの提供となっています。
そしてそれらを電動化に替えてしまうといった計画を持っているのです。
つまり、電動化に対応することを前提として現在の内燃エンジンを設計しているのです。
ロールスロイスの展望
ロールスロイスは常にファントムをその頂点として見ています。
そして、カリナンは「SUVのロールスロイス」として存在することを強く望んでいるとの見解を示しています。
ファントムはリムジンであり、常にリムジンに留まり続けます。
ロールスロイスはセダンのセグメントが無くなるとの見解を持っていません。
さらに、次世代のゴーストを市場に積極的に投入していく計画を持っています。
そういった見解を示しています。
ですがロールスロイス時代での利益は芳しくなくBMWグループ全体としての移行が強く反映されていると言えます。
いかにして売り上げをあげるのかといった点に関しては現状ではBMWグループが舵取りを担っています。
そのBMWグループですが売り上げは好調です。
BMWグループに代わってからは大きく売り上げを伸ばす施策が図られました。
先程も言いました通りプラットフォームの共有等です。
そしてその一環としてSUV車の投入が図られました。
それがカリナンです。
そこから考えるとカリナンを作りそこにおいて収益を確立しようと計画を立てているのはBMWグループと言えます。
BMWグループの意見の相違と未来の形
そういったことを考えるとロールスロイスが目指すビジョンとBMWグループが目指すビジョンでは乖離があります。
それを裏付けるかのようにロールスロイス側の「SUVへの新規参入は恥ずかしい」や「あくまで主軸はファントム」などといった比較的保守的な発言があります。
にも関わらずSUVの新規投入を行いました。
これは完全にBMW側の意向が反映されていると言えます。
では今後どのようになっていくのでしょうか?
間違いなくBMW側の意向を強く反映した車作りが展開されていくことが予想されます。
それに対してロールスロイス側が持っている伝統や文化があります。
そこに対して適切に折り合いを付けることができるかということが重要になってきます。