BMWのアルピナって普通のBMWと何が違うの?

BMWのアルピナって普通のBMWと何が違うの?

BMWのアルピナって普通のBMWと何が違うの?

ドイツの自動車メーカー・BMWは言わずとも知れた自動車メーカーですが、皆さんは「アルピナ(ALPINA)」をご存知でしょうか。BMWの車両をベースとし、そこから独自のモデルを製造・販売するドイツの自動車メーカー・チューナーがアルピナです。また、車両本体だけでなく、アフターマーケット用にチューニングパーツを展開し、ドレスアップパーツの生産販売も主な業務として行っています。今回はアルピナの歴史から、BMW社との関係性、アルピナが展開する車種に焦点を当てていきたいと思います。

■アルピナの歴史

・事務機器メーカーからチューニング会社への転身、そしてBMW社と公式パートナーへ

アルピナ社のルーツを辿ると、元々はドイツのバイエルン州に店舗を構える事務機器メーカーでした。後に自動車製造部門を作り出すこととなる、アルピナ社創立者の息子・ブルカルト・ボーフェンジーペン氏が、自身のBMW1500キャプレターをソレックス製からウェーバー製2基に変更したことから始まりました。

1964年にはブルカルト氏がチューニングしたエンジンがBMWのパウル・C・ハーネマン氏の目に留まり、高い評価を得ることとなります。以降はBMW社公認のチューニング会社として認知されるようになり、BMW車同様の保証が受けられる、パートナー企業として生まれ変わることとなりました。そして翌年の1965年、ブルカルト氏の名前を取って、アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン合資会社が設立されました。

エンブレムはBMW社のものと類似しており、チューニングの象徴でもあったダブル・チョーク・ウェーバーのエアファンネルとクランクシャフトを盾にし、情熱を表す「赤」と知性と志を表現した「青」を配色しています。

エンジン性能に強いこだわりを持つアルピナ社チューニングのBMW車は、レースでも輝かしい成績を残しており、1968年にツーリングカーレースに参加を開始してからわずか2年で、ヨーロッパツーリグカー選手権や、フロリダで行われたロングディスタンス・クラシック、フランスのル・マン24時間耐久レースなどで数多く参加していたライバル車を蹴散らし、見事優勝を総ナメにしました。また、市販車をベースとしたドイツ独自のツーリングカー選手権であるドイツツーリングカー選手権においては、全ての大会を制覇しています。ユーロピアン・ツーリングカー・チャンピオンシップにおいて、2800CSのチューニングカーで参戦していたアルピナは1970年にスパ・フランコルシャン24時間耐久レースで見事優勝を飾っています。それらの経歴が認められ、アルピナはBMW社のレース専用車両「BMW・3.0CSL」の開発プロジェクトリーダーに任命されることとなったのです。1977年には再度BMWアルピナ3.5CSLでツーリングカー選手権で見事優勝し、これを機にアルピナはレーシング仕様車から手を引くこととなり、市販コンプリートカーへとシフトを変更していくこととなるのです。

・自動車メーカーとして本格始動!

レース車のチューニング事業から一時期身を引いた後、アルピナは自動車メーカーとして本格始動を始めました。1978年にはドイツのブッフローエに工場を建設し、アルピナとしては初となる市販車・B6 2.8、B7ターボ、B7ターボクーペを開発しました。そして弛まぬ努力の甲斐があって、その5年後にはドイツ政府から正式に自動車メーカーとして認められることとなり、自動車メーカーとして気持ちを新たに出発することとなったのです。

1984年には再びドイツツーリングカー選手権に参戦を表明し、翌年の1985年にはBMW・M3で準ワークスチームとして参加し、大会では数多くの輝かしい成績を残すこととなります。レースシーンでさらなる脚光を浴びたアルピナは、その走行性と質感が消費者から高く評価され、市販車の受注量が急増することとなりました。製造に追われることとなったアルピナは、再びレースシーンから姿を消すことを余儀なくされ、モータースポーツからの完全撤退を表明しています。

その後自動車メーカーとしてさらなる飛躍を見せたアルピナは、セミATシステムのアルピナ・シフトとロニックや、MTモード付きのATシステムであるアルピナ・スイッチトロニック、ディーゼルエンジンモデルとなるD10ビターボなどを次々と開発し、世間の注目を集めました。そして2002年には特別仕様車・BMW ALPINA ROADSTER V8を発表し、これを皮切りに北米市場にも展開していくこととなるのです。その走行性能の高さはもはや世界も無視出来なくなり、2005年には0-100km/h間を4.6秒、最高速度314km/hの加速力を誇る世界最高水準のスポーツカー・B5を開発しています。

モーターレースからの完全撤廃を宣言していたアルピナでしたが、2009年のジュネーブモーターショーでは、およそ20年ぶりとなるレース仕様車B6GT3を発表しました。さらに、翌年にはアルピナがヨーロッパ選手権で培ってきた渾身の技術を搭載したBMW ALPINA B5 BiTurboを開発。オリジナルのシリンダ休止ーシステムを搭載したことにより、優れた走行性と高い燃費消費率を実現しています。
現在においてもアルピナ社はBMW社と良好な関係を築いており、妥協のない技術力でスポーティ高級ラインの車種を支えています。

■BMW社との関係性

前述したように、1964年にアルピナ社はBMW社の公式パートナーとなりました。アルピナ社チューニング仕様の車も、BMW車同様のパーツ供給やメンテナンス保証が受けられるようになりました。ドイツ政府から正式に自動車メーカーとしての認可を受けており、今やチューニング会社ではなく立派な自動車メーカーとしてその存在を示しています。

BMW社の連結子会社・Mモータースポーツ社が開発するMシリーズはより本格的なスポーツモデルとしてラインナップしているのに対し、アルピナ社の製品はスポーティな高級路線のモデルとして位置しており、洗練された大人向けに展開しています。

会社を発足してから現在に至るまで、BMW社を良好な関係を築いてきたアルピナ社。その密接な協力関係はアルピナ社にとっては無くてはならないもので、会社継続の基盤となっています。ファミリービジネスで展開している小さな会社でありながらも、量産モデルに適用される非常に厳しい品質や安全基準を満たしており、アルピナ社の個性を取り入れたオリジナルの製品を生み出し続けています。

■アルピナ車の特徴って?

・アルピナDシリーズ

アルピナエンブレムになってから製造された初のディーゼルエンジン車両としてDシリーズは誕生しており、このDシリーズは発売してからいくつもの感動と驚きを人々に供給してきたといえます。小排気量ディーゼルエンジンでありながらも、その高いトルク性能と経済性で、人々から広く支持されました。

Dモデルはターボエンジンに発展し、ディーゼル車ならではの胸のすく走りや性能を発揮してくれるようになります。アルピナ社を代表するベストセラー・シリーズとなったDモデルは、累計の販売台数を2,000台としており、これはアルピナのような小さな自動車会社では驚異の数字と言えるでしょう。

2013年にはBMW3シリーズをベースとしたD3モデルに、3.0リッター直列6気筒Bi-Turboスーパー・スポーツ・ディーゼル・エンジンを採用。サイズは小さいながらも力強いトルク特性と経済性を持つ組み合わせたエンジンであり、市場でも高く評価されています。

(BMW ALPINA D3 BITURBO)

・アルピナのエンジン

全モデルにBMW社とアルピナ社の技術を結集させた最先端のテクノロジーを搭載しており、ガソリン・ディーゼル・6気筒・8気筒エンジン全てにおいて高出力かつ高トルク・高い燃費性能を誇っています。BMWはエンジンテクノロジーにおいて世界を牽引しており、アルピナ社の技術者達はBMW社と共同で開発した経験やノウハウを小規模生産の中で活かすことに注力し、
さらなる技術の高みへ進化し続けています。

たとえば8気筒 BITURBO ガソリンでは、5,750~6,250rpmにおいて447kW (608PS) の驚異の出力を誇り、最大トルクは3,000rpm以上で800Nm(81.6kgm)を発揮しています。B7 Bi-Turboにはこの超高性能エンジンが搭載されており、0-100km/h間をわずか4.2秒で駆け抜けてしまうほどの動力性能を誇っています。最高速度は330km/hとしており、世界最高峰のエンジンと言っても過言ではないでしょう。

そのほか、B6 BITURBOに搭載されている8気筒 BITURBO 6気筒ガソリンエンジン、D5 Sに搭載されている6気筒 BITURBO ディーゼルエンジンなど、それぞれ驚くべき性能と経済性を誇っています。

・インテリア

アルピナ社製の自動車の特性は、何もチューニングで培った高いエンジン性能だけではありません。シートには独自の優雅な雰囲気を醸し出す最高級のLAVALINAレザーを使用しており、高級化をさらに高めるため、ブルーとグリーンのダブルステッチが施されています。また、インテリア・トリムには高級ウッドの採用やピアノブラック仕上げを施し、LAVALINAレザー・トリムやカーボン・レザー・トリムなどのラインナップも取り揃えています。

■まとめ

ドイツで最も小さい高級自動車メーカーであるアルピナ社は、その規模では考えられないほどの数の様々なチューニングモデルを生み出してきました。質感だけではなく性能にもこだわりを持ち、高性能のエンジンを開発し、往年のBMWファンはもちろんのこと、車好きのオーナー達をも唸らす珠玉の1台を日々造り続けているといえます。

独自の個性を光らせ、他にないチューニングで人々を魅了し続けているアルピナ社。妥協を知ることのない確かな技術とこだわりの素材で、今後もBMW社と共に私達を圧倒させてくれることでしょう。