鈴鹿8時間耐久ロードレース第41回大会-果たしてその結果は

鈴鹿8時間耐久ロードレース第41回大会-果たしてその結果は

2017-2018 FIM世界耐久選手権最終戦

鈴鹿8耐

“コカコーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第41回大会、果たしてその結果は―…!

世界有数の国際レーシングコース「鈴鹿サーキット」で、今年も鈴鹿8時間耐久ロードレース(以下鈴鹿8耐)が開催されました。
鈴鹿8耐は今年で41回目を向かえる日本で最も伝統のある耐久ロードレースとして知られており、
世界耐久選手権のチャンピオンが決定するレースとしても世界から注目を集めています。
特に今41回大会は、日本に拠点を置くチーム・F.C.C TSR Honda Franceが初めてEWC(世界耐久選手権)で世界チャンピオンになることが期待されており、
WSBK(スーパーバイク世界選手権)で3連覇中の世界覇者・ジョナサン・レイの参戦、YAMAHA FACTORY ACING TEAMの鈴鹿8耐4連覇がかかっていたりなど、
国内外からの注目度が非常に高い試合でもありました。
レースの基本情報や各チームの特色に着目し、レース展開とその結果に迫りたいと思います。

■鈴鹿8時間耐久ロードレースとは?

1978年に三重県鈴鹿の地で第1回大会が行われてから、今年で41回目を迎える伝統的なオートバイ耐久レースとして知られている鈴鹿8耐。
各チームの登録ライダー(2名ないしは3名)が公式予選で記録したベストラップタイムの平均を公式予選の順位とし、
この公式予選の上位10チームでTOP10トライアルが行われ、決勝レースのポールポジションから10番グリッドまでが決定することとなります。
毎回約70チームが決勝争いをし、残りの60チームは公式予選の結果によってグリッドが決定します。
決勝戦でのスタート方法は、フランス伝統レースのル・マン式で行われ、TOP10トライアルと予選順位に従ってコースのピット順に並べられたバイクに、
コース観客席側からライダーが駆け寄ってエンジンをかけてスタートします。
3人交代制でコースを走行し、8時間の周回数とタイムを競います。
1位から20位までのチームにはポイントが付与され、通常8時間以下の耐久レースでは1位が30点、2位が24点、3位が21点、4位が19点、5位が17点、6位が15点、
7位以下は1点ずつ少なくなっていき、20位が1点として計上されますが、
今大会はEWC(世界耐久選手権)最終戦のため、付与されるポイントが通常の1.5倍となっており、選手達の士気も高まっていました。

■レースの細かなポイント

レースでは安全や公平を期すため、様々なルールが設けられています。
ライダーはただコース上を走ればいいだけでなく、ルール遵守、ペース配分など様々なことを考えながら走行しています。
初心者にも分かりやすいよう、一部重要なルールをピックアップして紹介します。

<ヘッドライド>
マシンに搭載されている全てのライトは、練習中やレース中いずれの場合であっても常に点灯されていなければなりません。
また、メカニックによるピット作業中は消灯していなければなりません。

<燃料タンク>
オリジナルの燃料タンクを改造し、24リットルの最大容量とすることができます。
ライダーの好みに合わせて若干の変形は認められるものの、公認時の外観と位置は維持されなくてはなりません。
給油口は最大2口となっています。

<ゼッケン>
夜間走行およびレースになる場合、ゼッケンの字体は自発光式でなければなりません。

<排気量と最低重量>
EWCにエントリーできるマシンのカテゴリーは4種類あり、メインとなるEWCマシンについてはそれぞれ規則が異なります。
フォーミュラEWCの排気量は気筒数により異なり、4ストローク4気筒は600cc以上1,000cc以下。
4ストローク3気筒は750cc以上1,000cc以下。4ストローク2気筒は850cc以上1,200cc以下です。
また、最低重量は気筒数に関わらず、175kgとしています。(ただし夜間走行のないレースはライト装着の義務がないため170kg)

<タイヤ>
レインタイヤを除いて使用できるのは、前後合わせてフォーミュラEWCでは20本に限定されています。
TOPトライアルはこの本数にカウントされないため、決勝で使用できる本数の意味合いです。
また、今シーズンからフロント・リヤホイールのリムの最低直径は17インチに指定されています。

<フラッグ>
コース上にオイルが漏れて滑りやすい路面になっていたり、転倒者救助のために緊急車両がコースに入っている場合など、
コース上における変化を、各ポストからフラッグによってライダーに伝達しています。
観客席にいるファンも、このフラッグの意味を知ることでレース状況の把握ができます。以下に一部紹介します。

・国旗:レーススタートの合図
・青旗:後方よりマシンが接近しており、追い越しの可能性を伝える
・青旗+チェッカーフラッグ:トップライダーにレース終了を伝え、直前のライダーにはもう一周することを伝えます。
・黄旗:一本振動の場合、前方に危険が迫っていることを示唆し、二本振動の場合は前方の障害物を示唆しています。
・チェッカーフラッグ:レース終了を意味しています。
・赤旗:競技中断。全てのライダーは慎重かつ注意を持って低速で各自のピットに戻らなければなりません。
・ペナルティストップボード:サインボードで示された番号の協議車両は、ピットインし、一旦停止のペナルティを受けます。

41回大会、注目チーム・選手

<F.C.C.TSR Honda France>

F.C.C.TSR Honda Franceにとって今大会は世界チャンピオンがかかった重要な一戦となりました。
フランス・ブガッティで行われたル・マン24時間耐久レースと、ドイツのオッシャースレーベンで行われた8時間耐久エースで見事優勝を飾った同チーム。
チームを率いる藤井正和監督はレース前、「優勝ではなく、日本初のチャンピオンを獲りに行く」と意気込みを語っています。
ライバルチームとの差を10ポイントとしており、これを守りきるためには優勝を狙うのではなく、冷静に走りきることが求められていました。
ライダーとして参戦するのはフランス出身のフレディ・フォレイ、同じくフランスのアラン・テシェ、オーストラリア出身のジョシュ・フックの3名で、
日本初の耐久レース総合優勝を鈴鹿の地で狙います。マシンはスロバキアの耐久レースから新型となったHonda CBR 1000RR SP2で挑みます。

<YAMAHA FACTORY RACING TEAM>

今大会にさまざまな記録がかかっているYAMAHA FACTORY RACING TEAM。前回大会までに3連覇を達成しており、今回優勝するとなると
チーム初の4連覇を飾ることになる大舞台なのです。日本の絶対的エース・中須賀克行にとっては、個人の連覇記録も更新することとなります。
また、中須賀とオランダ出身のマイケル・ファン・デル・マークにとっては、最多優勝記録2位に並ぶ、通算4勝目となります。
使用するマシン・YAMAHA YZF-R1はデビューしてから20周年を迎えており、デビュー当時のイメージカラーを採用しており、後は優勝の2文字を飾るのみとなりました。
前述の2人に加え、去年から同チームのメンバーとして走っているイギリス出身のアレックス・ローズと共に、速さとチームワークで勝負に出ます。

<Red Bull Honda with 日本郵便>

10年ぶりに復活を遂げたRed Bull Honda with 日本郵便(以下Team HRC)。
全日本JSB1000で右肩上がりの好調を見せたエース・高橋巧は、直近の試合(スポーツランドSUGO)では日本の絶対エース・中須賀を追い詰めるまでに至っています。
鈴鹿仕様のマシンHonda CBR1000RRWの開発が急ピッチで進められ、その完成度が高められました。
そしていよいよ決戦の時を迎えた今大会予選、出場を予定していたレオン・キャミアがまさかの負傷により欠場することとなりました。
アメリカのパトリック・ジェイコブセンを急遽ライダーとして選出し、MotoGPライダー・中上貴晶と共に、逆境からの反撃を狙います。

<Kawasaki Team Green>

2年連続2位の記録を経て、ついに最終兵器としてKawasaki Team Greenが召集したのは、世界の絶対王者・ジョナサン・レイです。
これまで熱いオファーを受けていたジョナサンでしたが、優勝できるチームになるまでは参戦はしないと名言していました。
そして着々と力をつけていったKawasaki Team Greenに鈴鹿8耐の優勝を見出したジョナサンは、
チームメイトで同じくイギリス出身のレオン・ハスラムの勧誘もあり、出場を決意。
去年鈴鹿8耐でKawasaki Team Greenとして表彰台に立った渡辺一馬と共に、Kawasakiを25年ぶりの優勝へと導きます。

波乱のレース展開、そして―…!

大型の台風12号が異例のコースで西日本に上陸する中、伝統のル・マン方式でスタートを切った今大会。
胸を躍らせる一斉のエンジン音が会場に響き渡り、観客の熱気は最高潮になりました。
レース開始30分前に大粒の雨が降り注ぎ、地面はウェットコンディションになり各チームはグリッド上で大慌てになる波乱の展開でスタートしました。
しかしレースに潜む魔物の悪戯か、東の空からは次第に晴れ間が見え始め、開始30分後には路面が徐々に乾いていきました。
そのため開始40分程度でピットインするチームが多く見られました。
開始早々トップに立ったのは注目チームに数えられていた合同チームTeam HRCの高橋巧です。
2コーナーでKawasaki Team Greenのレオン・ハスラムを追い抜くと、後続チームに一時は10秒近い差をつけました。
18週目までトップを走行していたTeam HRCですが、ドライコンディションになる中で順位を落とし、
トップには1位にヨシムラススギ、2位にKawasaki Team Green、3位にYAMAHA FACTORY RACING TEAMが浮上しました。
20周目に入るとカワサキとヤマハのトップ争いの展開となりました。
そして2時間30分を向かえる頃に、CLUB NEXT & MOTO BUMチームが転倒しマシンが炎上。
ライダーは自力で立ち上がり無事でしたが、この際にセーフティカーが入り、Kawasaki Team Green、YAMAHA FACTORY RACING TEAM、Team HRCの差がいっきに詰められる展開となりました。

そして中盤・終盤にかけてまた激しい雨が降り出し、さらに2度セーフティカーが入るなど波乱の展開を見せた今大会。
優勝を決めたのは、今回で4連覇となるKawasaki Team Greenです。怪我が懸念されていた日本のエース・中須賀抜きでの走行となり、
レックス・ロウズとマイケル・ファン・デル・マークのふたりで壮絶な8時間を走り切りました。
EWCでの初の日本チームチャンピオンが決定する重要な試合であったF.C.C.TSR Honda Franceは5位でフィニッシュし、見事世界チャンピオンとして
世界で一つだけの栄光を手に入れる形となりました。

鈴鹿8時間耐久ロードレース第41回大会-結果順位

順位/チーム名/マシン/ラップ数/トータルタイム

1位 YAMAHA FACTORY RACING TEAM/YAMAHA YZF-R1/199/8:00’01.728
2位 Red Bull Honda with日本郵便/Honda CBR1000RR SP2/199/8:00’32.702
3位 Kawasaki Team GREEN/Kawasaki ZX-10RR/198/8:01’43.310
4位 S-PULSE DREAM RACING・IAI/Suzuki GSX-R1000/196/8:00’02.311
5位 F.C.C. TSR Honda France/Honda CBR1000RR SP2/196/8:01’04.467
6位 GMT94 YAMAHA/YAMAHA YZF-R1/196/8:01’48.403
7位 Honda Asia-Dream Racing/Honda CBR1000RR SP2/195/8:00’05.666
8位 KYB MORIWAKI MOTUL RACING/Honda CBR1000RR SP2/195/8:01’15.526
9位 HONDA ENDURANCE RACING/Honda CBR1000RR SP2/194/8:00’45.594
10位 YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING/SUZUKI GSX-R1000L8/194/8:01’14.582